欠けているモノ
高齢者、ましてアルツハイマー型認知症を患っている人に、したくないことをさせることがいかに大変なことでしょうか。暑い真夏の日々、義父に十分な水分摂取を試みようとして、人生を豊かにできる戦略を見つけることができたエピソードです。Read the original English version here >>
義父は私たち夫婦と一緒に住んでいる。人を喜ばせるのが好きでフレンドリーな性格だ。それでも、義父はアルツハイマー症を患っており、時に頑固で非協力的になる。
例えば、義父に十分な水分を摂取させることは、目下の課題である。暑くて、脱水症による死亡が毎日ニュースとして報じられている。そうした朝のニュースを見ながら義父とそれについて話しあう。でもその直後、ほんの一口の水で薬を飲んだかと思うと、ほぼ満杯のコップをテーブルの上に置きっぱなしにしてしまう。
義父はトイレに行かなければならないことを心配しているんだ。一緒に外出したとき、義父は数回のヒヤリハット事件を起こしていた。義父はそうした出来事を私に気づかれていない、と思っている。本人にとっては心配なことに違いないが、義父は「水分をとらなければ、オシッコは出ない。」という簡単な解決策を思いついたようだ。
どうすれば、この義父にやりたくないことをやらせることができるんだろう?
先日、1900年代初頭から日本で人気のあるらしい甘い濃縮飲料のカルピスを1本買った。氷水で割ると、炭酸がなくても爽やかなソフトドリンクになる。義父も同じ様に、この美味しい飲み物がごちそうだったようだ。
一番大きなグラスをとって、氷水を満たし、カルピスを加えた。それを義父の前に置いて、静かに立ち去って様子を見た。すると義父はそれを一口飲んだ後、美味しそうに一気に飲み干した。その日以来、毎朝同じことを繰り返している。
少し後ろめたい気もする。私は義父に一杯の水分(カルピス水)をあげ、義父はオシッコをしたくなる。でも、義父はそれを気にしていないようだ。それはもはや水分と思っていないのだろう。1つの材料を加えるだけで、義父の避けたかったことが「ごちそう」に変わった。
私は、ホッとした。義父は今、あれほど気にしていた水分を摂取している。義父の喜ぶ姿を見て、あることに気付いた。嫌な仕事を避けようとしても、思い通りにいかない時がある。そんなときは、その「欠けているモノ」を見つけることが大切。そして、人生のすべてを「ごちそう」に変えることができたら?
The Missing Ingredientの原文は『365 Life Shifts: Pivotal Moments That Changed Everything』に投稿されている。アマゾンから購入できます。
Subscribe to the Finding Yoyu Updates - and get instant access to the free audio - Affirmations for Cultivating Yoyu. Along with the audio and transcript, you'll get weekly tips for finding and cultivating more yoyu.
About the Author:
Hi! I’m Marci. I’ve lived in Japan for over 30 years, blending tech, language, and healing in my work. Through caregiving for my father-in-law with Alzheimer’s and supporting my husband’s cancer recovery, I discovered the importance of yoyu—having the time, energy, and emotional reserves to thrive. Now, I share these insights through writing, coaching, and creative projects. My upcoming memoir, Otosan, tells the story of those five transformative years. Let’s connect and create more yoyu in our lives!