人はウザイ

毎日のように近くの仙川沿いに散歩する。必ずサギ、カラス、蝶々やクモなどに出会って、運がよければ野良猫も見かける。こうした生き物から色々なレッスンやメッセージをもらっている。ある日オレンジ色のトラ猫に出会って、少し人間観が変わったエピソードです。Read the original English version of People Are a Problem here >>
橋に向かってカーブした道路を歩いていくと、オレンジ色のトラ猫が川沿いの土手で日光浴をしているのが見えた。その猫の縄張りをよく歩いているが、姿をみることはめったにない。私は彼が茂みで昼寝をしたり、土手をパトロールしたりするのを見るたびに幸せに感じる。彼はその日、よく見える草地の真ん中に堂々と座っていた。私はその様子を招きのサインだと受け取った。
私がほど近い芝生に腰を下ろすと、彼は逃げてしまうかもしれないと思った。でも、彼は少し座りなおして川を眺め続けた。私はなにか申し訳なさを感じ始めた。たぶん私が彼の縄張りに侵入したことにいらいらしていたのだろう。頭の中で「人はウザイ」という彼の声が聞こえた。われわれ人間が彼の生活のあらゆる場面でいちいち干渉しているのではないかと感じ、ちょっと想像してみた。私のようにおせっかいな人、犬と散歩している人、自転車に乗っている人…。
「クラッシュ!」
突然の衝突音に振り返った。そこには道の真ん中で転がって、自転車の下敷きになっている少年がいた。その子は少し速すぎるスピードでカーブに進入したのだろう。私はとっさに走り寄った。彼は起こったことにショックを受けたようだが、立ち上がった。ケガをしていなかったので安心した。二、三会話を交わすと、その子は自転車に乗って走り去った。
興奮が去って、先ほどまで座っていた場所を振り返った。猫がいなくなったのを確認して、少年のことを気遣いながら、再び歩き始めた。私自身、何年も前に自転車で転んだことを思い出した。一人の優しい女性が手を差し伸べて、私が大丈夫かどうか尋ねてくれた。「ほら、人は優しいでしょう!」と誰かが頭の中でささやいた。あの猫はきっと私を見ていただろうと願って、思わず笑みがこぼれた。私と少年の会話をみていれば猫は人も時には優しいということを分かってくれただろう。
振り返ると猫は少し離れたところにちょこんと座って私を見ていた。えっ?私についてきてたの?
その瞬間、一連の出来事が腑に落ちた。その少年との出来事は、人間も優しいしいということをその野良猫に見せることではなく、私に思い出させるためだったのだと。私は頭を下げてその猫に感謝した。家に帰る途中ずっと、「人は優しいね!」「人は優しいね!」と繰り返していた。
People are a Problemの原文は『Goodness Abounds: 365 True Stories of Loving Kindness』に投稿されている。アマゾンから購入できます。
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About the Author:
Hi! I’m Marci. I’ve lived in Japan for over 30 years, blending tech, language, and healing in my work. Through caregiving for my father-in-law with Alzheimer’s and supporting my husband’s cancer recovery, I discovered the importance of yoyu—having the time, energy, and emotional reserves to thrive. Now, I share these insights through writing, coaching, and creative projects. My upcoming memoir, Otosan, tells the story of those five transformative years. Let’s connect and create more yoyu in our lives!